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オスプレイ裁判仮処分第3回審尋での古賀初次さんの意見陳述

 オスプレイ裁判仮処分第3回審尋が12月20日午前11時から開かれ、地権者代表の古賀初次さんが意見陳述を行いました。

 その意見陳述全文を紹介します。

 

1.昨今のオスプレイ機の事故について

 

(1)令和5年11月2 9日午後2時頃、鹿児島県屋久島の東側約1キロの沖合で、定期訓練中の米軍オスプレイが墜落し、計8名もの死者を出すという痛ましい事故が起こってしまいました。

 その墜落を目撃した方の情報では、穏やかな秋晴れの中、突如として飛行中のオスプレイが空中で赤い炎と白い煙を噴き上げながら、制御が利かないような様子で旋回をはじめ、真っ逆さまに墜落し、海面にたたきつけられるや否や「ドーン」という爆発音とともに黒煙が立ち上がったとのことです。乗組員全員が死亡したという情報からすれば、本当に避難の余地もないような突発的事故であったことが窺えます。

 当時、屋久島沖には漁船も出ていたほか、事故現場の陸上では住民が釣りを楽しむなどしており、一歩間違えば、民間人に死傷者が出てもおかしくないような状況でした。

 また、事故後、海上には軽油が漏出し異臭が漂うなどしており、屋久島沖を漁場とする方々にとっては生活に関わる問題となっているかと思います。

 

(2)オスプレイの事故は今に始まったことではありません。同機に関しては、2010年頃から墜落事故が幾度となく発生しており、新聞報道等によればこれまでに10件近い事故が発生しているとのことです。

 そのうち4件は2 0 2 2年から今年にかけて発生している以上、機体の初期不良等の問題ではなく、機体の構造そのものに根本的問題があると言わざるを得ません。現に、事故のたびに、「クラッチの不具合である」とか、「飛行制御のソフトウェアや部品材料強度等の改善の必要がある」とか、ひどい場合には『根本的原因は不明である」などと報告されており、オスプレイ機が欠陥品であることは誰の目から見ても明らかです。

 

(3)そのため、今回の事故を受けて、オスプレイ機は異例ともいうべき全機運用停止の事態に追い込まれています。あってしかるべき判断がようやくなされたと考えます。これでも遅いくらいだと思います。

 

2.佐賀空港に配備された場合の危険性

 

 今回、佐賀空港に陸上自衛隊駐屯地が建設された後、オスプレイ機が配備•運用されると聞いています。

 この点、防衛省は「陸上自衛隊V-2 2オスプレイの佐賀空港利用について」(甲31号証)という報告書を公表しており、そこにはオスプレイの安全性に ついて「米国政府が安全性•信頼性を確認した上で量産されたものです。」「日本政府も普天間飛行場への配備に先立ち独自に安全性を確認しています。」(同 9頁)と書かれています。しかし、先ほど述べたように、オスプレイに関する事故は後を絶たず、真に安全性が確認されているとはおよそ思えません。

 万が一、佐賀空港にオスプレイが配備をされた場合、これまでの事故態様を考慮すれば、その乗組員や周辺住民に死傷者が出ても何らおかしくありません。 また、有明海では多くの漁民が昼夜を問わず活動しており、今回のような海上事故であってもその生命身体に危険が及びかねないうえ、直接事故に巻き込まれない場合であっても、その後の有明海の漁業に深刻な影響を及ぼすものと考えます。

 特にノリ養殖業に関しては、冬の海上で日が昇らない時間帯に作業をすることも多く、オスプレイ機が昼夜問わず訓練を実施し、夜間に事故が発生した場合には、我々海苔養殖業者は極寒の海に投げ出され命を落とす危険があります。令和5年11月3 0日付の佐賀新聞には、有明海漁業協同組合員であるノリ養殖業者の一人のインタビューが掲載されており、「もし有明海に墜落したら燃料が流出し、ノリに影響が出てしまう。」「この先何十年と不安な気持ちを持つことになる。」と述べています。私が抱えている不安は決して私一人の杞憂などではなく、有明海で漁業を営む組合員全体が抱える問題だと思います。

 佐賀空港への陸上自衛隊駐屯地建設工事は、佐賀空港が軍事基地化し他国からの攻撃対象となる危険性があるだけでなく、そこに配備されるオスプレイ機をはじめとした各種機体の事故によって地域住民の平穏な生活を奪う危険性もあります。

佐賀地方裁判所には、一刻も早く、この駐屯地建設工事を差し止める判断を出して頂きたいということを申し上げまして、私の意見陳述を終わります。