· 

仮処分第1回審尋を終わって 弁護団長 東島浩幸

 古賀初次さんら地権者4名が、国を相手取って「佐賀空港自衛隊駐屯地建設工事差止仮処分」を申立て、10月13日に国側、10月20日に申立人側の審尋(裁判)が行われました。

 

 私たちは、①オスプレイ佐賀空港配備予定地(国造搦60haのうちの約34ha)は、国から佐賀県、佐賀県から漁協の組合員たる地権者らに直接所有権が移転してきた、②地権者らの共有では全員の同意がないと所有権の移転は民法上できないのに49名の反対のもと多数決で売却することとなったのだから売買契約は無効である、➂国は所有権を有していないのに地権者らの所有権(持分)を侵害して建設工事をしているから工事を止めよと主張しています。

 

 これに対し、国は、登記や契約書などを根拠に、予定地の所有権は国から佐賀県、佐賀県から南川副漁協(漁協合併後は佐賀県有明海漁協)、漁協から国へと売買契約で所有権が移転したと主張してきました。

 

 しかしながら、佐賀県と漁協は、昭和38年に国造搦60haについて、“佐賀県知事は、南川副漁協の漁業権者の入植増反希望者に配分する”との申し合わせをしています。農地造成目的の干拓をしていた当時、法律上、農地耕作者である者にしか配分はできませんから、漁協ではなく個々人への配分を申し合わせていたのです。その後、減反政策のため農地造成としての干拓ではなくなりましたが、昭和56年の佐賀県知事と漁協との覚書でも、昭和38年の申し合わせをそのまま確認しており、それを前提に、昭和63年に国造搦の60haについて、県からの売却がされました。つまり、形式的に漁協が契約書に署名・押印しているとしても、地権者ら個々人への直接の所有権移転がされたのです。

 

 また、国は、地権者らに売却意思を尋ねるアンケートを取るなど、地権者らの所有(共有)であることを十分知りそれを前提とする行動を取っていたのに、今になって地権者らの権利を否定するという信じられない不誠実な態度を取っています。さらに、オスプレイの相次ぐ墜落事故などについても、将来についての漠然として不安に過ぎないなどと述べ、国民に背を向けているとしかいえません。

 

 なお、第2回審尋は11月22日(水)午前11時、第3回は12月20日(水)午前11時です。